DxO FilmPackというソフトをご存じでしょうか? photoshopでプラグインとして使用するタイプを使っているんですが、凄くハマってます。 このソフトは、フィルム銘柄ごとの「色調」や「粒子感」をシュミレーションするという画期的な処理が可能なんです。 特に新しいのが「粒子感」のシュミレートです。 もともと「粒子感」というのは、何となく銀塩の世界の話で、デジタル画像ではあまり縁がないものと思ってました。 EOS20Dを購入してからこれまでのDSC業界は、如何に高画素か、如何に低ノイズか、そういったことを争点に激しい競争していましたので、その渦中において一消費者である私は当然に良い画質を判断するポイントはそういった争点に委ねられると信じて疑いませんでした。 粒子感なんてのは画質が悪いゆえに生じるもので、粒子感のないデジタルの方が上なんじゃないの?な~んて。 それはそれでそうだとも思うんですが、いざ家でファインプリントをしてみてモニター上の「画像」を用紙上の「写真」にしてみると、のっぺり綺麗なものよりは画像そのものにノイズ(粒子)をのせたり用紙の表面に凹凸のあるファインアート紙を使ったりしたものの方が、良く見えることに気づきました。 それから「粒子感」(そのころはハッキリとこの言葉で認識していたわけではありませんが)ということに何となく惹かれだして、お決まりですが森山大道を知ったり、フィルムをやっている人は既にこの「粒子感」の存在に深い意義を見出していることを知ったりしました。 特に「CReCo」という明室作業を推奨されている写真家の横木安良夫さんが、ご自身のブログTHE EYE FORGETで書かれている「粒子論」(物理学っぽくて格好良い響きです)はなるほど!と思わず感嘆してしまいました。 私的には、やはり自家プリントでの経験で、クリスピアなどの光沢紙などで綺麗に印刷したものは綺麗すぎて景色を「複写」したに過ぎないという一抹の味気なさを感じてしまうのですが、ファインアート紙の用紙表面にテクスチャのあるもの(表情の乏しいモノクロの曇り空でもぐっと情感がまします、これが粒子感と同じ効果のような気がしてます)や粒状のノイズを軽くのせた画像などで印刷すると「複写」というリアルな味気のない部分が後退して「写真」としてのリアルさというか見応えが出てくる・・・・粒子と用紙のテクスチャはともに、現実の写生を「写真」へと抽象化しつつ一方で「写真」としてのリアルさを生み出す一つの効果的なメソッドとでも言いましょうか・・・・・とりあえずこんな感じで整理をしています。 ここでちょっと余談になりますが、My勝負用紙のピクトランをご紹介したいと思います。 前はピクトリコのハイグロスフィルムとか好きでしたが、盲目の子羊でしたね。 ピクトランの特徴は色々とありますが一番のお気に入りは、プリントするとテクスチャの表面(特に暗部に)細かいキラキラが出てきて、それが作品の立体感や気品を高めてくれる素晴らしい用紙です。 ギャラリーで色々な方の作品を見ていると使っている人はそれなりにいて、いつも聞いて確認しますが、やはりピクトランでどの方も素晴らしい出力されています。 ヨドバシの新宿カメラ館のB1Fで売っていますので、興味のある方は是非。 話がそれましたが、以上が私なりに用紙のテクスチャやノイズ処理の効果を通して「粒子感」に刮目するにいたった経緯です。 そして、雑誌のモノクロ画像処理の紹介コーナーで、最後に「グレイスケールノイズ」を加えるのではなく、このソフトで「Trix」の粒子シュミュレーションをしているのを見たときに、思わずこれだ!と叫びました。 丁度、ヨドバシで割引キャンペーンをやっているのに遭遇して、しかもキャンペーン最終日であと1個しかないと言われて即決でこのソフトを購入しました。 その場にいた出向してきていたソフト会社の担当者曰く、とにかくDxOは何でも解析してデータを分析するのが大好きなんでこういうのやらせたら良いモノを作る、とのこと。 確かに実際使用してみて、よくできているな、といった感じです。 あきらかに「ノイズを加える処理」とは異なる粒子状のものが加わります。 ノイズは慎重に効果量を加減しないとすぐにザラツキが目立って視界の中で「ひっかかり」ができて雰囲気を壊しかねませんが、このソフトで加える粒子は構造が全く違うようであまり気にせずに使えます。 16bitTIFFで処理できるのも嬉しいです。 そんなに高価ではありませんので、何か新しい現像ソフトをお探しでしたら候補の筆頭にしても差し支えのないものだと思います。 何と言っても粒子が獲得できるんですから・・・・・・まあ、WEB上のサムネイル程度の解像度ではなかなか実感できない部分ではありますが。 まあ、ここまで推しておいて何ですが(笑)、やはりブログ・フォトではなくてプリントで最大の真価を発揮する機能かもしれません、ブログで紹介しておいてなんですが。 デジタルと銀塩はあらゆる点で別物という考えをもっていたつもりですが、銀塩の遺産のように思える粒子にここまで惹かれるのは自分でも不思議な気がします。 けど、あくまでプリントして「写真」という形にした際に「粒子」は大事だな、ということですので、銀塩の方が優れているとかデジタルの方が表現手段として劣っているとかそういう話ではありませんよ。 手段はどっちでも良いんだと思います、実際にデジタルでもこうして素晴らしい粒子感を加えることができますし。 次回は、このソフトの色調のフィルムシュミレーションをご紹介したいと思います。
by private__eyes
| 2007-09-18 22:45
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